デジタル人民元は中国に訪れた外国人にも開放

2022/04/28 00:07

 中国の多くの地域でデジタル人民元の試行が次々と展開され、利用シーンも増えています。

 デジタル人民元とは、中国人民銀行が発行している「法定デジタル通貨」です。実際の通貨と同様に「いつでも・誰でも・どこでも」利用ができることを目的に作られました。これまで中国国内で28都市、6200億元(1兆130億円)の取引が街中の飲食店などで、実証実験として行われています。

 スマートフォンに専用アプリをインストールし、店舗にある読み取り機での支払いや、支払人と受取人のスマホをタッチするだけでの決済など、利便性が広がっているのが特徴です。中国では実証実験として実際の街中の買い物から、補助金を政府から個人へ支払うのにも利用されています。

 中国の中央銀行である中国人民銀行はこのほど、天津市、重慶市などの6都市をデジタル人民元のテストエリアに新たに追加すると発表しました。また、デジタル人民元の利用シーンも小売り、飲食、交通・旅行、公共料金の支払いなど、さまざまな分野に及んでいます。

 重慶市の医療施設では、患者はデジタル人民元で診療代を支払うことができるようになっています。利用した患者は「QRコードをスキャンすれば支払うことができ、とても便利だ」と話しました。東部の福建省でも、運転手たちは料金所やガソリンスタンド、サービスセンター内の飲食店でデジタル人民元を使っています。

 去年末までに、デジタル人民元の取引総額は875億6500万元(約1兆7400億円)に達したということです。

 中国人民銀行が2021年7月に公表した、「中国におけるデジタル人民元(中国数字人民币、e-CNY)の調査研究の進展」によれば、デジタル人民元の正式導入のスケジュールは決まっていません。現在も実証実験は進められており、2022年2月に行われた北京五輪において、外国人向けに初めてデジタル人民元が提供されました。

 今後は中国人のみならず、短期で訪れた外国人向けにも利用ができるようにすると考えられています。