北京で9月18日、2022世界エネルギー転換フォーラムの一環として水素に関するセッションが行われた。
このところ世界各国で水素の利用を拡大する策が打ち出され、競争や協力の「新たな路線」が形成されつつある。オーストラリア科学アカデミーの会員であるニューサウスウェールズ大学の甄崇礼教授は、「2050年に排出ゼロという国際エネルギー機関(IEA)の目標に向けて、水素は様々なエネルギー分野で広範囲に利用し、その利用レベルも現在の6倍以上とする」と述べている。
中国工程院アカデミーの会員で元副院長である干勇氏は、「中国で末端エネルギー体系における水素の割合は2050年に少なくとも10%、2060年にはおよそ15%となる」と述べた。エネルギー戦略の重要な一環となる水素は末端エネルギー体系に組み込まれ、電力と補完しながら消費の主体となり、10兆元(200兆円)規模の産業体系を形成するとのことである。
水素はこのところ、産業化や技術向上が進むにつれて、普及利用も拡大している。
北汽福田汽車の業務副総裁で、智藍新エネルギーの総裁である秦志東氏は、世界の水素事業は現在、初期先行段階でビジネスモデルの模索をしている状態で、2030年以降に商業化すると述べている。「中国は水素の産業チェーンの雛形が出来ており、本格化前の段階にある」とのことである。秦氏は、中国では水素の製造から運搬、利用に至るまでほぼ一貫した産業チェーンが出来上がっており、トップデザインや政府の支援によって産業化が進んでいると見ている。
秦氏はまた、「産業が整備されて水素の商用車が走行する時代になっている」とも述べている。水素による燃料電池車について、中国は乗用車を軸に普及に取り組む外国とは異なり商用車から着手しており、世界をリードしている。また中国は、燃料電池車向けのインフラも整備しており、2021年は水素ステーションの完成数、稼働数、着工数がいずれも世界トップである。2022年6月末現在、水素ステーションの数は270か所以上に達している。
(中国経済新聞)