中国、年次有給休暇の取得促進へ、消費拡大にも期待

2026/11/5 12:30

中国では今年に入り、年次有給休暇制度の徹底と、従業員の休暇取得時期を分散させる「時差休暇」を促す動きが各地で広がっている。広東省や陝西省、安徽省、貴州省、浙江省、雲南省、山西省、天津市などが相次いで関連通知を発表し、労働者の休暇取得権を保障するとともに、旅行やレジャーを通じた消費の拡大を目指している。

 広東省発展改革委員会は11月3日、「広東省消費拡大実施方案」の通知を発表し、休息・休暇制度の徹底を打ち出した。労働者の正当な休暇取得の権利を確実に保障し、年次有給休暇制度を全面的に実施するとともに、制度の実効性を高める。企業に対しては、年次有給休暇を連休と組み合わせて取得させるほか、柔軟な休暇日程の設定によって、休暇取得時期の分散を促すよう求めた。

 広東省以外でも、山西省は今年4月、省人力資源・社会保障庁や省総工会(労働組合総連合会)など5部門が共同で通知を発表し、年次有給休暇制度の定着を推進した。各地に対し、「従業員有給年次休暇条例」などの関連法規を企業に厳格に順守させ、12カ月以上継続して勤務した従業員が、勤続年数に応じて5~15日間の有給休暇を平等に取得できるよう求めた。休暇取得における差別的、選択的な運用も認めない方針を示している。

 天津市も7月、市人力資源・社会保障局など5部門が年次有給休暇制度の徹底に関する通知を発表し、休暇の完全取得と時期の分散を促した。企業に対しては、年次有給休暇を週末や祝日、学生の夏休み・冬休みなどと組み合わせて取得できるようにすることを提案。従業員が近距離旅行や帰省、観光などを計画しやすくし、年次有給休暇の社会的な効果を高める狙いがある。

 休暇取得を妨げる職場の意識を改めることも、取り組みの重要な柱となっている。天津市の通知は、従業員を大切にする企業文化の構築を呼びかけ、「仕事に熱心なら休暇を取るべきではない」という誤った認識を改めるよう求めた。また、職場での過度な競争意識から休暇を取得しない風潮や、業績へのプレッシャーから休暇を取れない状況の解消も掲げている。

 安徽省人力資源・社会保障庁など4部門が共同で発表した通知も、企業内の日常的な研修に年次有給休暇などの制度を盛り込み、従業員に休暇取得の権利を周知するよう求めた。従業員が抱える「休暇を取れない、取るのが怖い、取りたがらない」という問題の解消を目指し、法に基づいて休暇を取得する意識を高めるとしている。

 中国では近年、休暇制度の見直しが進んでいる。国務院弁公庁が発表した「2026年の一部祝休日の配列に関する通知」では、年次有給休暇制度の活用を企業や個人に奨励し、実質的に長期休暇を形成することで、旅行需要の分散を促す方針を示した。

 また、国務院は今年7月、国家レベルで初めてとなる消費分野の5カ年特別計画「消費拡大第15次5カ年計画」を正式に承認した。同計画では、休息・休暇制度を徹底し、労働者の正当な休暇取得の権利を保障することを明記。労働法の全面的な実施に加え、「従業員有給年次休暇条例」の改正を推進し、年次有給休暇制度の実効性を強化する方針を打ち出した。さらに、年次有給休暇を伝統的な祝日や地域独自のイベントと組み合わせた柔軟な時差休暇を奨励し、条件の整った地域では小中学校の春休み・秋休みの導入も支援するとしている。

 小中学校の春休み・秋休みについては、すでに全国15省で省全域での導入が進んでいる。11月に入り、各地では秋休みが相次いで始まっている。

 広東省体制改革研究会の彭澎執行会長は、第一財経の取材に対し、小中学校に春休み・秋休みを設けることは、児童・生徒の学習負担を軽減し、休息の時間を増やすことで、心身の健康や体力の向上につながると分析する。また、学校の休暇と保護者の有給休暇を連動させれば、家族旅行やレジャー活動を促進でき、消費の拡大にもつながるとの見方を示した。

 年次有給休暇の取得促進は、労働者の権利保障にとどまらず、旅行・レジャー需要の平準化や内需拡大を後押しする政策としても注目されている。

(中国経済新聞)