オランダ経済大臣、来週中国訪問へ 安世半導体問題の解決を模索

2025/11/14 12:30

ロイター通信によると、オランダのカレーマンス経済大臣は11月13日(現地時間)、オランダ政府代表団が「来週初め」に中国を訪問し、中国企業・聞泰科技(ウィンテック)傘下の安世半導体(Nexperia)に関する問題の解決を図ると発表した。中国側はすでに、オランダ経済省の代表団派遣の要請を受け入れたとしている。

カレーマンス大臣は声明の中で、「経済省は北京に上級官僚から成る代表団を派遣し、双方が受け入れ可能な解決策を引き続き模索する」と述べた。

問題の発端は10月12日、オランダ政府が「オランダおよび欧州の経済安全保障にリスクをもたらす」との理由で、中国の聞泰科技傘下の安世半導体に対して介入を行ったことにある。安世半導体は、2018年に聞泰科技がオランダの老舗半導体企業NXPの一部門を買収して誕生したグローバル企業であり、現在は自動車用チップなどを中心に世界市場で広く事業を展開している。

聞泰科技は翌13日に声明を発表し、「オランダ政府は根拠のない“国家安全保障”を口実に、安世半導体のグローバル事業を凍結した」と強く非難。「それは事実に基づくリスク評価ではなく、地政学的偏見による過度の介入である」と指摘した。さらに同社は、法的・外交的手段を通じてオランダ政府に対し「誤った命令の撤回と中国企業への体系的差別の停止」を求める意向を明らかにした。

11月13日午後、中国商務部の定例記者会見で、報道陣から「オランダ経済省代表団の訪中日程や協議の見通し」に関する質問が出た。これに対し、商務部報道官の何亜東氏は次のように回答した。「安世半導体問題の発生以来、中国側はグローバル半導体供給網の安定と安全に責任を持つ立場から、オランダ側と複数回にわたり協議を行ってきた。オランダ経済省代表団の訪中要請を受け入れたのもその一環である。我々は、オランダ側が誠実な協力の意思を示し、実質的かつ建設的な解決策を早急に提示することを期待する。」

さらに、何氏は「双方の努力によって、世界の半導体産業チェーンの安全と安定を迅速かつ効果的に回復することが重要だ」と強調した。

安世半導体をめぐる今回の問題は、欧州各国が対中投資・技術分野における「リスク回避(デリスキング)」を進める中で生じた。特にオランダは、米国の要請を受けて半導体製造装置メーカーASMLの対中輸出制限を強化しており、中国との経済関係における緊張が続いている。

一方で、中国は「半導体サプライチェーンの分断は誰の利益にもならない」と繰り返し警告しており、今回の安世半導体問題を「政治的な保護主義の表れ」として批判している。

オランダ代表団の訪中は、両国が冷静な対話を通じて出口を見出す試金石となる見通しだ。欧州企業の間では、安世半導体の事業停止が長引けば、車載チップ供給やグローバル生産ネットワークに深刻な影響が及ぶとの懸念も広がっている。

今回の協議で、オランダ政府がどこまで譲歩し、中国企業に対する公平な競争環境をどのように担保するかが焦点となる。

(中国経済新聞)