EU=ヨーロッパ連合はこのほど、中国から輸入されるEVに対する補助金調査への最終結果として、中国ないしEUに対し、向こう5年間に17%~36.3%の関税を上乗せするという案を発表した。税率を製造元別にみると、BYDが17.0%,吉利(ジーリー)が19.3%、上汽集団が36.3%、その他の協力企業が21.3%、非協力企業が36.3%となっているほか、中国生産のテスラ車については9%としている。また、いずれも遡及しての徴収はしないとも決定している。
EUは2023年10月4日に中国のEVに対する補助金調査を始め、2024年7月4日に暫定案として17.4%~37.6%の反補助金関税を課すと発表、さらに2024年8月20日に、「11月4日までに最終決定を下す」と発表している。
中国はこの前に、EUの措置について世界貿易機関(WTO)に提訴している。中国商務省の報道官が8月9日、「EV産業の権利や利益、世界のエコ化改革を維持するため、WTOの争議解決体制に訴える」と述べている。
EU中国商会(China Chamber of Commerce to the EU=CCCEU)は「中国製EVの強みは補助金ではなく、産業規模やトータルサプライチェーン、および激しい競争だ」と強調している。EUは不当な手段によりEVの自由貿易を抑えているが、こうした保護主義なやり方でヨーロッパ自身の自動車産業がもろくなり、公平な競争環境やEU自身のエコ化改革が滞る上に、中国との間で貿易摩擦が生じ、世界の協力やエコ化に誤ったシグナルを発することになる、との旨を表明している。
EU中国商会もこの前に、「EUにとって自動車の電動化は温暖化対策を講じる上で大事なものだ。国際エネルギー機関(IEA)によると、2035年には世界で販売される自動車の50%—95%がEVとなる。またEUは、二酸化炭素排出量のうち乗用車が16%を占めていることから2035年にはガソリン車の販売を終了すると定めたが、2023年の新車販売分のうちEVの割合はわずか14.6%で、乗用車保有台数の1.7%にとどまっていることから、自動車の電動化は待ったなしの課題だ。中国製EVに高額な関税を課すと値上がりを招いて購入需要が薄れ、エコ化やクライメイト・ニュートラル(気候中立)への道のりも遠のいていく」との声明を発表している。
(中国経済新聞)