限界を突破 頂点に登る——濰柴集団、世界最高となる熱効率52.28%のディーゼルエンジンと54.16%の天然ガスエンジンを発表

2022/12/23 15:15

中国の装備機器メーカー「濰柴動力」(Weichai )は2022年11月20日午後、世界初となる本体の熱効率52.28%の商業用ディーゼルエンジンおよび同54.16%の商業用天然ガスエンジンを発表した。中国工程院の共産党グループ書記である李暁紅(Li Xiaohong)院長、同じく共産党グループ員である鐘志華(Zhong Zhihua)副院長、鄧秀(Deng Xiu)新副院長、工程院院士である山東省の凌文(Ling Wen)副省長などが製品の発表会に参加し、李院長と凌副省長が祝福のメッセージを述べた。

工程院院士、山東省副省長の凌文氏

発表会ではまた、濰柴集団の熱効率エンジン開発メンバーの代表である王徳成(Wang Decheng)博士と陳文淼(Chen Wenmiao)博士に対し、ドイツ技術検査協会「TÜV」より認定証が送られた。濰柴集団製のディーゼルエンジンおよび天然ガスエンジンの熱効率が52%および54%を超え、ともに世界最高であることがアメリカのサウスウェスト・リサーチ・インスティテュート(SwRI)により証明された。ドイツ・ボッシュ社のシュテファン・ハルトゥングCEO、米国自動車技術者協会のクリス・メイソンCEO、(SwRI)のウォルター・ダウニングCOO、オーストリアAVL社のヘルムート・リストCEO、北米華人エンジンエンジニア協会の荊偉会長、さらには中国機械工程学会、中国内燃機学会、中国内燃機工業協会など、国内外の研究所や業界団体、パートナーから祝電やビデオメッセージが寄せられた。

この中で李院長は、濰柴集団の研究成果に対して「ディーゼルエンジンと天然ガスエンジンでいずれも熱効率が世界一になったことは、濰柴集団だけでなく中国にとっても心強いものだ。誇るべき世界的な業績を残したことに大変感謝する。53%、54%、55%という新たな目標の達成に向けて、中国工程院として余すところなく全面的にサポートしていく」との熱烈なメッセージを送った。

3年間で3ステップディーゼルエンジンの熱効率は上昇の一途

ディーゼルエンジンが誕生して125年、熱効率の向上は世界の技術者たちの夢であり、内燃機関におけるその国の総合力を示す尺度でもある。濰柴は2020年9月に本体熱効率が世界最高となる50.23%のディーゼルエンジンを発表、また2022年1月にはそれをさらに51.09%へ引き上げ、世界の内燃機関業界を牽引している。

この技術を「前人未踏」の域に突入させた濰柴は、さらに高い目標に向かって一段と追い込みを見せた。一連の技術を通じて、じりじりと0.01%ずつ進歩し、本体熱効率を52.28%に引き上げ、またも世界最高を塗り替えた。

ディーゼルエンジン濰柴製

3年間で3件の記録達成という圧倒的なイノベーション成果により、内燃機関の業界における中国の発言権がぐっと引き上がり、さらには莫大な経済や社会的効果も引き寄せる。エンジン本体の熱効率とは、余熱の回収装置に頼らずディーゼル燃焼のエネルギーを出力に転換した割合を指し、これが高いほどエンジンは経済的になる。52.28%のものが商業利用されれば、既存の主なディーゼルエンジン(平均熱効率46%)を使った場合に比べ、燃料消費量、二酸化炭素の排出がともに12%削減され、中国全体で年間に燃料1900万トン、および二酸化炭素排出が6000万トン減る。国を挙げてエコ化や低炭素化に取り組んでいる中、今回の技術開発は大変な意義を持つ。

歩み続けた10年間天然ガスエンジンの熱効率も飛躍的に向上

エネルギー革命により様々な動力源が生まれる中、低炭素である天然ガスのエンジンは内燃機関における低炭素化に向けて大きな役割を担う。濰柴はこの分野で大手であり、ハイパワーの天然ガスエンジンで世界の70%のシェアを誇り、生産・販売量とも世界トップに座っている。

濰柴は、次世代型のクリーンで効率的な天然ガスエンジンの製造に向けて、10年以上にわたりひたすら研究を重ね、世界的なサプライチェーンの努力により独自開発への道を切り開いた。

濰柴は2008年に天然ガスシリンダーの直噴技術を手掛け始め、2012年に中国初となるハイパワー型のシリンダー高圧直噴圧縮型天然ガスエンジンを開発した。直噴システムや基幹部品のさらなる自社開発を目指し、2018年からエンジンの基幹技術について研究を重ねてきた。業界平均で42%程度であった本体の熱効率を、2020年に45%、そして2021年には50%という大台に乗せている。

誇るべき成果を重ねた濰柴はその後も足を止めず、常に限界に挑んだ。2022年にはディーゼルエンジン熱効率向上における共通問題である高効率の過給、低抵抗、低フリクションといった基幹技術を、天然ガスエンジンに導入した。

今年11月、天然ガスエンジンの本体熱効率を外国企業の最高である47.6%を大幅に上回る54.16%まで伸ばして、中国の排出基準「Ⅵ」レベルに到達させた。この成果は天然ガスエンジンの技術における歴史的な進展であり、さらには内燃機関における世界的な革命となるもので、天然ガスエンジンが熱効率でディーゼルエンジンを上回り、エネルギー機械としてベストな存在となった。

この快挙により、一般の天然ガスエンジンに比べて燃料消費が20%以上、炭素の排出レベルが25%削減され、業界全体で炭素を3000万トン削減するなど、社会全体に大変な価値をもたらすことになる。

【企業概要】

濰柴グループは1946年に創立され、グローバルの連結従業員が約10万人、2021年の営業収入が3000億元を超えました。濰柴グループは中国を代表する、産業機器のグローバル企業であり、世界でも大きな影響力を持っております。濰柴グループはパワートレイン、商用車、農業機械、建設機械、スマート物流、マリン製品の六大事業を展開し、その子会社がヨーロッパ、北米、アジアに分布し、110以上の国と地域に製品を輸出しています。濰柴動力、ドイツのKION、イタリアのFERRETTIなど国内外の上場企業が8社、持株会社が10社を保有しています。

(中国経済新聞)