中国各地で病院が「深刻な人手不足」、医療体制が大ピンチ

2022/12/20 13:45

中国各地の病院が「深刻な人手不足」に陥っている。「感染しても無症状あるいは軽症のスタッフは勤務に当たり、症状が重い場合はすぐに休んで治療し、回復後はすぐに出勤するように」と求める病院もあり、さらには無症状の陽性者は陽性病棟に出勤をさせる病院も現れている。

吉林省長春市にある吉林大学第一医院は12月16日、猛威を振るうコロナの影響で医療逼迫状態であると発表した。医療資源への需要は増える一方であるが、現場で勤務している医療スタッフの感染者が増え続け、どの診療科も人手が足りないという。特に救急科や発熱外来は連日にわたり満杯状態であり、多くの職員が「病を押して」仕事にあたっている。

河北省衡水市の第四人民医院は12月16日、「中国の医療機関やスタッフはこれから1、2か月、あるいはさらに長期にわたり『逼迫状態』となる」と表明した。陽性者も含めて患者が大量に病院になだれ込み、スタッフが感染する確率も急増し、出勤できる人の数もどんどんと減っていく。一方で病院は陽性病棟の整備や重症対応の充実化、発熱外来の拡大といった難題を抱える上、通常の医療支援も必要で、大量の職員を確保しなくてはならない。よって人手不足などの問題が浮き彫りとなる。

こうした中、湖北省公安県の人民医院は12月16日、職員向けに「発熱外来は大きな感染リスクがある中で患者の対応に追われている。コロナに感染した職員の中には、回復後にすぐ出勤した人、完治しないまま職場復帰した人、また病を押して勤務を続けている人もいる」とのねぎらいのメッセージを発している。

北京市朝陽区の応急総病院は12月18日、「濃厚接触や隔離などで救急科が一気に10人も減ったうえ、近くの他の病院も休診してしまい、患者の数はいつもの何倍にも達している」と発表した。看護師はコロナ対策を講じた中で仕事の量が急激に増えており、生理的にも心理的にもピンチに立たされている。

湖北省麻城市の母子健康センターは12月17日、「陽性患者が増えるにつれてスタッフが相次ぎ感染し、非常に厳しい対応を迫られている。職員が足りず病院全体が火の車に陥ってしまっている」と発表した。病院ではスタッフに対し、「陽性で無症状の場合は陽性病棟へ出勤し、発熱の場合でも休みは原則3日間とし、5日間を超えて休まないで欲しい」と、病を押して出勤するよう求めている。 

(中国経済新聞)