中国、2億円の資産を有する世帯が206万戸

2022/11/23 15:40

中国のリサーチ機関である胡潤百富(フルン・レポート)と、保険会社の中信保誠は11月20日、富裕層の世帯別資産額に関する規模などをまとめた「2022中国高資産額階層の家族相続報告」を共同で発表した。これによると、資産額が600万元(約1.18億円)以上の「富裕世帯」が508万戸、1000万元(約1.98億円)以上の「高資産世帯」が206万戸、1億元(約19.8億円)以上の「超高額資産世帯」が13万戸となっている。

資産額1000万元以上の世帯の地域別分布を見ると、多い順に北京(29.8万戸)、上海(26.2万戸)、香港(21.1万戸)、深セン(7.9万戸)、広州(7.1万戸)となっており、このうち深センは伸び幅が最大(前年比4.4%増)で、香港は大きく減少(同5.4%減)している。

また富裕層を職業別に見ると、株のトレーダーと不動産投資家がともに前年とほぼ同じ10%、コロナにより民間経済の後退の影響を受けた会社経営者が前年より10ポイント減っておよそ50%、ゴールドカラーワーカー(Gold Collar Workers)が同10ポイント増の約30%であった。

またこの調査で、富裕層の投資の特徴として最も多いのが安定志向(46%)であることが分かった。国際政治や経済環境、コロナの影響を受け、短期的な資産運用の目標として最も大事にしているのが資産の安全性であり、3年連続で「資産の増額」を上回っている。

報告では、富裕層は増え続ける資産の規模やライフサイクルの定めを前に、家庭内での資産引継ぎを一段と重要視していると指摘している。

調査によると、富裕層のうち家族への相続を考えている割合が97%に達しており、このうち4割がその計画を実行しているという。富裕層は今抱えている財産の使い道について、「家族に継がせる」が最も多く(30%)、次いで投資、子供の教育、当面の消費、老後のたくわえといった順で、慈善関係への寄付はおよそ8%であった。

ただし家族への相続について、家庭内で悩みを抱えている割合が95%にも達している。一番の心配事は、財産の受入れや保管に対する子供の能力的な問題 (50%)であり、金の無駄遣いや思考力が未成熟であるといった悩みである。家庭外の要因としては、相続税や贈与税の法的な変化を挙げる割合が46%に達している。今回の調査で、相続税や贈与税について10年以内に新たな政策が打ち出されると見ている富裕層が7割に達していることが分かった。

家族への相続の際に望むことは、「相続人がトラブルに巻き込まれないこと」(46%)、「資産の価値を守ること」(42%)、「相続の決まりや確約事項を満たすこと」(38%)などとなっており、明確性を何より重要視していることが分かる。

相続のきっかけとなる時期については、本人の年齢を挙げる人が最も多く(57%)、次が相続人の年齢で(30%)で、また会社の成長具合と答えた割合は14%、一方でリタイヤする時期が適切な時期と考える人がかなり多くなっている(34%)。これら全体を平均すると、富裕層が資産相続に向けて行動をとり始める年齢は54.1歳となっている。

(中国経済新聞)