IT大手のテンセント、配送サービスアプリ「美団」(Meituan)への出資を大幅減

2022/11/18 09:05

中国のIT大手テンセントは2022年Q3の決算発表をした11月16日夕方、保有するオンライン配送サービス最大手・美団(Meituan)のおよそ9.58億株を特別配当により株主に還元すると発表した。配布割合は10:1(テンセント10株所有につき1株)という。還元分の株価を11月15日の美団の終値で金額換算すると、1594億香港ドル(約2.85兆円)以上となる。

これはつまり、テンセントが手持ちの美団の株を自社の株主に譲るということで、これによりテンセントは17%だった美団への出資率がわずか2%以下となる。

テンセントは2014年に美団へ出資を始め、その後両者は緊密な協力関係を維持してきた。美団はそれまでテンセントに欠けていた生活サービスを手掛けたうえ、テンセントの決済事業の成長も支えることになった。しかし今回の件により、関係は希薄になりそうである。

テンセントが特別配当という形を選んだことについて市場関係者は、①流通市場で美団に変動が起こらず株価の安定につながる。②株主配当という先例を築くことで株主への見返りが果たされる。過去にも同じ形で京東の株を配当しており、投資家から評価を得ている。③業績好調で2022年第三四半期はキャッシュフローなどで安定した結果を残し、事業を十分に支えて前向きな見通しも立てられる状態である、といった理由を挙げている。

   美団(Meituan)配送サービス

テンセントは現在、他のIT大手各社でも重要な株主になっており、各社への持ち株率は快手(kwai)が17.32%、拼多多( Pinduoduo)が15.63%、bilibiliが11.38%、唯品会(vip.com)が9.48%などとなっている。

京東や美団との提携解消は、テンセントの出資戦略の極めて代表的な事例である。新たな経営のもと、拼多多や快手なども美団と同じ方式で持ち株率の低減を図るかは定かでなく、テンセントはこうした憶測に反応を示していない。

(中国経済新聞)