BYD、半導体子会社の上場計画を中止

2022/11/17 22:50

中国の新エネ車メーカー・BYDは11月15日の役員会で、半導体製造の子会社「比亜迪半導体」の分離上場計画を中止し、深セン取引所に提出していた上場申請文書を取り下げると決定した。

BYDの発表によると、比亜迪半導体は上場の審査中に山東省済南に製造拠点を建設して稼働を始めたが、それでも生産が足りずさらに設備を増強すると決定していた。このためひとまず上場を見送り、生産力アップを果たし条件が整った段階で改めて時期を探るとのことである。

比亜迪半導体は2021年8月18日に上場審査が中止されており、この理由はパートナーである北京市の天元弁護士事務所が藍山科技(Blue Mountains)による違法な情報発表を受けて当局の調査を受けたことで、同事務所が関与した上場案件がすべて審査中止に至ったからである。当時は、半月後に比亜迪半導体向けに再審査報告が発行されて審査が再開されている。

また比亜迪半導体は、2021年9月30日、2022年3月31日、2022年9月30日の三度、いずれも申請書類に記載された経理データが古く再提出が必要との理由で、同じく上場審査が中止されている。

今回の上場撤回について業界内では、資金面が理由ではないと見られている。長年手掛けてきた新エネ車が2021年から爆発的に成長していることで巨額の利益を得ており、2022年第三四半期は調整後の純利益が84億元(約1654億円)に達し、現預金も2019年の127億元(約2500億円)から2022年9月末には449億元(約8840億円)まで伸びている。

BYDは今回、分離上場に向けて20億元(約393.8億円)を集める予定だった。2019年は調整後の純利益がわずか2億元(約39.4億円)、2020年も30億元(約590億円)程度で現預金も100億元ほどであったBYDにとって、20億元かなり意味のある金額であった。

ただし、上場への道が複雑化してしまった今、20億元(約393.8億円)は意味の薄いものになっている。

(中国経済新聞)