リチウム価格の高止まりで電池の成長が減速車載電池各社が打開策を検討

2022/11/15 22:36

中国は車載電池の出荷が依然として増加を維持しているが、伸び率は減速するとみられる。高工鋰電(GGII)の張小飛(Zhang Xiaofei)会長は11月14日の年次総会で、2022年の国内の出荷量の伸びは2021年の183%から117%に下がり、2023年から2025年にかけてさらに下がる見込みと述べた。

来年のリチウム電池業界の景気動向について、新エネ車向け電池メーカー「欣旺達」(SUNWODA)の梁鋭(Liang Rui)副総裁は、車載電池と蓄電用電池の合計出荷量が2倍になるとの見方を示した。「今年のリチウム電池の出荷量が約600GWhとすると、来年は1TWhを超える」とのことである。

楽観視の理由について梁氏は、最近の国際会議で発表された内容から世界的に気候変動への取り組みが進むと見られること、中国は車載電池ですでにトップに立ち、各社とも海外からの評価や受注を伸ばしていること、ここ1、2年間における多額の生産投資の結果が現れていること、との3点に基づく判断だと述べている。

その一方で、同じく新エネ車電池メーカーの「瑞浦蘭鈞能源」(Ruipu Energy)の曹輝(Cao Hui)会長は、「来年の車載電池の成長幅は30%から40%、蓄電用は80%から100%と見る。蓄電用の成長率が高いのは今年上半期の数値が低かったから」と慎重な見方を示している。「今年の中国全体の新エネ車販売台数は600万台と見られ、このペースでは来年は800万~900万台が妥当な線だ」と述べている。

これまで生産拡大を続けてきた中国の車載電池メーカーは海外に目を向け始めており、「海外進出」が業界の流れとなっている。顧客ニーズに一段と応えるために海外工場の建設に乗り出しているほか、ヨーロッパ行きの貨物列車による商品輸送もいいルートだと見られている。

新エネ車電池メーカーの「瑞浦蘭鈞能源」(Ruipu Energy)本社ビル

ただ梁氏はフォーラムで、今ヨーロッパで工場を建設することについて「顧客ニーズを満たすための『やむにやまれぬ策』」と述べ、かなりの課題が存在するという。サプライチェーンについて、比較的整っている中国に比べてヨーロッパは遅れており、改めて整備する必要があるほか、ヨーロッパは生産コストが高くつくので環境配慮型の製造に関する法律を詳しく研究しなければならないと述べている。

一方で曹会長は、「欧米以外」の場を選んでいる。「来年は思い切った海外展開をするが、場所は欧米ではないだろう。顧客は必ずしも現地生産を望んでいないので、最も儲けやすい場所に工場を建てる。それは現地とは限らない」と述べる。関税が20%とすれば現地での工場建設費が50%上がるので、安上がりな地域に建てた方がよいとのことである。

(中国経済新聞)