中国、10月の新規融資額は12.2兆円 通貨残高は前年比11.8%増

2022/11/13 13:15

中国人民銀行が11月10日に発表した10月の金融および社会融資のデータによると、国内通貨の新規融資額は前年より2110億元(約4.2兆円)減って6152億元(約12.2兆円)で、社会融資額は同じく7097億元(約14.1兆円)減って9079億元(約18.0兆円)であった。

また、10月末の時点での広義の通貨(M2)残高は261.29兆元(約5197.2兆円)で、前年比では3.1ポイント増の11.8%の伸びであり、二桁成長を維持した。

融資の新規分を内容別に見ると、住宅向けが180億元(約3580億円)減少しており、このうち短期分は512億元(約1兆円)減ったが中長期は332億元(約6603億円)増えている。また法人向け融資は4626億元(約9.2兆円)増え、うち短期が1843億元(約3.67兆円)減で中長期は4623億元(約9.2兆円)増加、手形融資は1905億元(約3.79兆円)の増加だった。こうした結果から、10月は「個人は不況・法人は好況」とまとめられる。

個人の融資が落ち込んだ理由について、民生銀行のチーフエコノミストである温彬氏は、「各地でコロナがぶり返して消費関連の信用取引が不調となり、非製造業のPMI活動も分岐点以下となって短期融資が伸び悩んだ」と指摘している。また中長期も、不動産が好況に至らず買い控えに走ったことから、伸び幅は前月よりかなり減っている。

一方で、法人向けの中長期融資は好調であった。これについて、ジョーンズ・ラング・ラサール大中華圏のチーフエコノミスト兼研究部統括である厖溟氏は、「業績の見通しが改善を続けていることで融資も回復した。加えて政府による開拓志向の金融ツール、特定ものの『物件引き渡し』融資、残高限度額向け融資などの実施で資金が動いた。設備の更新や改良が進むことで回復傾向が続き、好況を維持するのではないか」と述べている。

(中国経済新聞)