中国不動産業界、「最後の砦」も不況の波にのまれる

2022/11/1 22:00

見通しが悪化している中国の不動産業界で強い不況感が一気に噴出した。31日、経営の安定していた各社が「ブラックマンデー」を迎え、株価が軒並み大幅ダウンしている。各社の午後の終値は、「竜湖集団」(Longfor)が23.78%減、「保利発展」(Poly Group)が9.98%減、「華発集団」(Huafa)が9.26%減、「浜江集団」(Binjiang)が9%減、「招商蛇口」(cmsk)が6.62%減、「万科企業」(VANKE) が5.72%減、「碧桂園」(カントリーガーデン)が9.82%減、「中海地産」が4.95%減となっている。

中国の不動産経営を守る最後の砦と見られている保利、招商、万科などの国有企業は、先ごろ発表された9月までの決算を見るといずれも業績が悪化しており、業界の先行きに改めて不安感が募っている。

中国企業資本連盟の副理事長で、IPG中国エリアのチーフエコノミストである柏文喜氏は、「不動産市場の不振で『実りの9月・10月』は過去のものとなり、業界の見通しも不透明で市場が自信を失っている。低迷状態で業界の自信がそがれている中、開発大手の竜湖集団の創業者である呉亜軍会長が10月28日に健康上の理由で辞任すると発表した。これで最後の砦も崩れてしまい、不動産銘柄全体が地すべりを起こした」と述べている。

かねてから不動産銘柄を調査している固定収益アナリストによると、31日の株価総崩れは暗雲の中で不況感が吐き出されたものと見ている。この導火線はつまり、竜湖集団の会長辞任である。10月に大きく値崩れした理由は、9月30日に中国人民銀行、中国銀行保険監督管理委員会、財政・税務の各当局が発表した一連の不動産政策がさほど功を奏さず、市場が低迷を続けてベース面で悲観的な感情が強まったためである。これに呉氏の辞任が重なって、業界はさらに危機的状態に陥るものと見られたのである。

ただしこのアナリストは、「これからの10年を見ると、年間需要10億平方メートル以上が見込める一大業界であることに変わりはなく、今のように極端な悲観的に見る必要はない」と指摘している。「今回の出来事で噴出した不況感が収まったのち、市場は元の価値に戻って、とばっちりを受けた会社に投資のチャンスが訪れるのではないか」と述べている。

(中国経済新聞)