中国科学院:新型コロナウイルス発生から3年、世界で鬱病患者が7000万人増加

2022/10/30 22:00

中国科学技術協会(China Association for Science and Technology)とTikTokが共同で制作する知識番組『科創中国・院士が語る』で、中国科学院院士の陸林(リク・リン)氏が新型コロナウイルス流行が人間に与える心理的影響を推測し、今多くの注目を集めている。陸氏は、番組内でコロナ禍によって、うつ病にかかる人が世界で7000万人、不安障害が9000万人、不眠症が数億人に増えたことを明らかにした。また、このような心理面での影響は、少なくとも20年は続くとしている。

「自宅隔離していた住民の3分の1近くが、うつ病、不安症、不眠症、急性ストレス反応などを経験し、そのうち10%以上が、未だ完全には回復していない」

陸氏は、コロナ禍で青少年のメンタルに与える影響は、他の年代に比べ更に深刻だとしている。陸氏は医師として、コロナ禍において診療所で多くの青少年を診察してきた。長期に渡る自宅隔離によって、多くの青少年がゲームにはまりバイオリズムが乱れた。それによりコロナが収束する頃には鬱状態となり、人と会うのが怖く外出を控えるようになってしまったことで、最終的には学校へ通えなくなってしまった。

今年2月、ジャド・アルアリ氏が率いる研究チームは、新型コロナウイルスがメンタルヘルスに与える長期的影響に関する研究結果をブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに発表した。この研究では、新型コロナウイルスのグループが他のグループに比べ、メンタルヘルスを損なうリスクが60%増加したことが示された。全世界で少なくとも3億人がうつ病に苦しんでいると言われているが、うつ病患者のうち適時に治療を受けている人は約20%に過ぎず、ほとんどの人は病気として認識せず、診察を避けている。

陸氏は、適度な人付き合いを維持し、1日30分から1時間程度の運動で汗をかくことを勧めている。また、メンタルヘルス教育と科学知識普及の重要性も強調している。

(中国経済新聞)