中国アートトイ市場の10年間を振り返る

2022/09/27 11:30

英語で「Art Toy」または「Designer Toy」、「芸術的なおもちゃ」あるいは「デザイナーのおもちゃ」を示し、その時代に活躍するデザイナーやアーティストの方によって作られたトイ・フィギュアである。

アメリカや日本で発祥した「アートトイ」が今、中国で日本を上回る広がりを見せている。iiMediaによると、中国の市場規模は2020年に300億元(6000億円)近くに達しており、2023年には、90億元(1812億円)程度と見られる日本を大幅に上回る571億元(1.15兆円)にのぼるという。

中国のアートトイ市場は、北京を拠点とする玩具メーカーである「ポップマート」が業界初の上場を果たしたほか、他社も存在している。

国盛証券のレポートでは、中国のアートトイ業界を4タイプに分けている。一つはポップマートのほか「IP小站(IPステーション)」、「52TOYS」といった産業チェーン一体の法人営業型であり、IP(Intellectual Property/知的財産権)の取得やデザイン制作、販売などすべてにわたるものである。二つ目は「尋找独角獣(ファインディングユニコーン)」、「若態若来(ロライフ)」、「Toycity」などのブランド型であり、IP取得やデザイン制作を手掛ける。三つ目は「酷楽潮玩(クールチャオワン)」、「九木雑物社(キュウモクザブツシャ、「朴坊(パクボウ)」、「TOP TOY」などの販売を手掛ける小売店や専門店で、商品はほぼ上記のブランド業者やスタジオなどで製作されたものである。そして四つ目は「潮玩族(チョワンゾクク)」、「美拆(メイチェ)」、「盲盒星球(モウへセイキュウ)」、「得物」などの取引アプリである。

業界大手に勤務経験のある金歌(キンカこ10年間の中国のアートトイの歩みを4段階に分けている。まずは2016年ごろまでの「対象外時代」であり、店を選ぼうとしても相手にされず、通販サイトも0歳~3歳の低年齢向け商品を売っていた。次が2017年~2018年の「非主流時代」である。さらに2018年から現在までの「サブカルチャー時代」で、売り場選びの際に発言権が強まり、通販サイトの営業リソースも拡大していった。そして4番目の「主流文化時代」、つまりこれからの時代であって、どの商業施設でも客が集まるようになり、通販サイトも進んで提携を求めてくる。

中国のアートトイは今、国内の顧客を相手にする傾向が強まっており、中国人の国産品に対する受け入れ度合いも高まっている。「ポップマート系」が影響力を急激に高めており、「レゴ」や「バンダイ」など外国ブランドを上回る人気のIPも出始めている。

ポップマートの決算を見ると、2017年から2019年までの年間利益額は順に156万元(3142万円)、9952万元(20億円)、4.51億元(90.8億円)で、2020年は5.2億元(約105億円)、2021年には純利益額が8.5億元(171億円)となっている。こうした成長ぶりは中国のアートトイの市場規模を如実に示している。

(中国経済新聞)