自動車メーカーBYD社長「中国にはEV3億台分のリチウムが存在」

2022/09/25 19:00

自動車メーカー・BYDの王伝福社長は9月23日、百人会の主催による中国新エネルギー車発展フォーラム(2022)で、中国にはリチウムが十分にあり、自動車3億台を電気化することができると述べた。

王氏は、「中国はこのところ随分とリチウム鉱が発見されている。ただし採掘が進まない一方で需要が増え、品不足となっている」と述べた。

今年に入り、原材料不足のため電池の製造コストが急増している。よって各電池メーカーが鉱脈の奪い合いを演じている。南米チリでのリチウム生産の不安を受けて他の供給先を求めているBYDは、「アジアのリチウムの都」と言われる江西省宜春で、285億元(5730億円)をかけて年産30ギガワットの車載電池工場と年産10万トンの電池製造用炭酸リチウムおよびカオリナイト(リチウム含有)の選鉱および総合開発利用拠点を建設する予定である。公開資料によると、宜春には世界最大のリチウム雲母鉱があり、埋蔵量は炭酸リチウム換算で636万トンである。また酸化リチウムの埋蔵量は中国のリチウム埋蔵量全体のおよそ23.6%となる258万トンで、このうち可採分が同じく中国全体の31%となる110万トンである。

また、国軒高科の李縝社長は、「中国の炭酸リチウム需要量は2025年に60万トン前後に達する。向こう5年間は江西省、四川省、青海省でリチウムの採掘量が伸びる上、電池の回収技術も進歩して輸入量がかなり減るだろう」と述べた。2025年には宜春でのリチウムの年産量が50万トンとなり、品不足問題に完全にけりがつくとのことである。

車載電池に関する中国の業界団体の最新データによると、今年1月~8月の車載電池装着数は前年同期より112.3%増えて162.1GWhである。このうち三元電池が全体の40.7%の66.0GWhで前年比61.1%増加、リン酸鉄リチウム電池が59.2%にあたる95.9GWhで同じく172.2%の増加と、急激な伸びを示している。

(中国経済新聞)