製薬大手の雲南白薬、株で475億円失う

2022/09/5 15:05

中国で、口腔衛生薬の最大手である「雲南白薬」による株取引問題が論議を呼んでいる。

先ごろ発表された雲南白薬の2022年上半期決算を見ると、公正価値変動損益は-4.17億元(84.5億円)で、このうちシャオミ・グループへの投資による赤字が4.21億元(約83.5億円)であった。2021年初めから2022年6月末までの1年半、投資による赤字額は23.46億元(約475億円)で、月平均で1.30億元(約26.3億)の赤字となっている。

投資に多額のお金をつぎ込んでいる雲南白薬は一方で、研究開発費の割合がここ数年1%未満となっている。今年上半期は前年同期より21.54%増の1.29億元(約26.1億円)であったが、それでも開発費率は0.72%であった。過去のデータを見ると、2019年から2021年まで、年間研究開発費は順に1.74億元(約35.3億円)、1.81億元 (約36.6億円)、3.31億元(約67.1億円)で、開発費率はいずれも1%未満であった。

本業の研究開発に身を入れず、株の売買に力を入れているようである。

雲南白薬の公正価値変動損益は、2019年が2.27億元(約46.0億円)、2020年が22.4億元(約453.8億円)で、投資による純利益は順に14.7億元(約298億円)、3.92億元(約79.4億円)であり、これらを合わせた利益総額は同じく順に35.91%、38.71%であった。

しかし2021年は証券投資が赤字に陥り、公正価値変動損益は-19.29億(約390.8億円)となった。投資の対象を見ると、医薬分野だけでなく、人気だった太陽光パネル用シリコン材の大手「通威」やシャオミにも手を付けている。

これについて、シャンコン資本の執行役員である瀋萌氏は、「主力商品で大量の利益を生んだのち、商品開発に力をかけずに専門外である株への投資を始めた。意思決定が不適切で無責任だ」と述べている。

(中国経済新聞)