中国の不動産大手「万科」、事業の転換を模索

2022/06/29 17:30

経済の回復を目指す中国政府はこのところ、不動産市場の支援に向けて住宅の購入を刺激する策を打ち出しているが、業界各社とも業績は思うように伸びず、大手である万科は事業の転換を模索し始めている。

6月28日午後に行われた万科の2021年度の株主総会で、取締役会会長である郁亮氏は、最近の不動産市場について、「ひとまず底は脱却したが、回復は遅く緩やかである」との見方を述べた。

郁氏は、「今年前半は売行きが思わしくなかった不動産業界だが、6月には好転し、上昇傾向にある」と述べた。

このような見方をする理由は、政府が住宅の購入を支援する策を打ち出したからである。

ただし郁氏は、6月の売上が伸びたとはいえ、2021年の同時期にはまだだいぶ及ばないと言う。「不動産市場は今、これまでとは違う環境に置かれている。人口やその中身、所得レベル、業界運営の方針の原則が変わっており、新たな段階に差し掛かっている。よって、過去の考えに沿ってピーク時のデータや規模に戻そうなどと期待してはならない」と強調している。

(写真左:郁亮氏;右:祝九勝氏)

また万科の社長で最高経営責任者である祝九勝氏は、市場の後退は年初の段階で予想していたが、これほどまでとは思わなかったと言う。「短期的には、積極的な営業や具体的な対応で今年中に業績悪化に歯止めをかけるとの約束を果たせる。もう少し長目となる2、3年のスパンで見ると、まず確実に業績を回復させること、次に業界トップグループの座を維持すること、それと、不動産の開発から、経営、サービスの平行実施および物流事業の開拓へいち早く移行すること、という3つの目標を達成したい」と述べる。

祝氏はまた、「物流事業について、ここ数年間は50%前後伸び続けており、今年は黒字化を果たす。賃貸マンションはすでに利益を上げている。これら二つの分野をさらに開拓していきたい」とも述べている。

(中国経済新聞)