中国政府、自動車の購入刺激策を相次ぎ発表

2022/06/25 14:56

中国政府は、先ごろ実施した作業部会で、自動車の購入を支援するため様々な策を打ち出すと改めて表明した。これに向けて、今年さらに2000億元の追加消費が見込めると思われ、この情報を受けてA株(中国株)における自動車関連の銘柄が急上昇している。

こうした策はもちろん、このところの売れ行き不振を受けてのものであり、データを見るとその中身がうかがえる。

中国自動車工業協会によると、去年の5月以降、月間の生産・販売台数が伸びず、前年割れもかなり目立っている。特に2022年3月以降は落ちる一方で、4月は販売が47.6%減、生産が43.5%減であった。

その理由は言うまでもなく、今年に入ってコロナがぶり返しているからである。

中国そして世界の「自動車街」とも言える長春や上海がとりわけ深刻で、強力なコロナ対策が敷かれている。一汽、上汽、テスラ、VW、GMなど国内外の大手メーカーや部品メーカーが立地するこの両都市で物流が止まったため、かなりの企業が操業中止を余儀なくされ、自動車産業全体が壊滅状態となった。

また一方、多くの市民が自宅隔離となったうえ、経済的な不安も高まったため、購買意欲が大きく後退し、自動車需要も遠のいてしまった。

自動車はなにしろ、一般庶民における支出の中で住宅に次ぐ存在であり、社会全体の小売り総額に占める割合は2010~2019年の平均が11.24%で、最近は少し下がったとはいえ8%~10%を占めている。このまま低迷状態が続くと、消費全体が落ち込んでしまうことにもなるので、とにかく今すぐに自動車購入を刺激しなくてはならない。

このほかさらに、産業のレベルアップという突っ込んだ策も必要であり、原材料、設備の製造、関連商品、道路の建設、エネルギー、販売、交通運輸など、様々な分野を押し上げていくものである。

また自動車産業は、雇用や税収の増加、貿易などでも重要な役割を演じているので、このまま低迷すると悪影響が生じることになる。中国政府は、こうした理由から消費の刺激策を次々と打ち出しているわけである。

(中国経済新聞)