岐路に立たされるbilibili

2023/04/11 13:33

3月の決算発表時に「UP主(インフルエンサー)に91億元(約1751億円)を配当」で話題をさらった中国の人気動画共有サイト「bilibili」が、4月に入った途端、インフルエンサーの「更新停止」に目が向けられて、いまだに余波が続いている。

これについて当初は、経済的理由や一時休止といった形で有名インフルエンサー3人が更新を中止したに過ぎないものと見られていたが、その後、苦境に陥り儲けが出なくなっていると訴えて更新をやめるケースが相次いでいる。

70万人近いフォロワーを抱えながら半年も更新を中断しているインフルエンサーの「一只姜茶茶」は、「bilibiliのブランド広告や商品広告はやりにくい」と、商業化の難しさを訴えている。長尺動画はコストがかかり、bilibiliでの2年間のインフルエンサー生活で数十万元(約1400万円)もの赤字が出たという。

「問題のない会社などはなく、他の同類アプリも同じだ。bilibiliが些細なことで話題になるのはつまり人気を得ているから」。ある匿名のインフルエンサーはこのように述べ、「bilibiliは競技場みたいなもので、上手ければ出られて下手なら退場する世界だ」と言う。

ただし客観的に見ても、インセンティブが減って広告マーケットも縮小する中、インフルエンサーは肩身が狭くなり、さらにbilibiliは今ショートビデオに力を入れていることで、それまでの長尺ものの制作者が押し出されている。

艾媒諮詢(iiMedia Research)のCEOである張毅氏は、「bilibiliはビジネスモデルについて岐路に立たされている。インフルエンサーへの金銭支給モデルがどこまで続くか、またこれまでの高額支給によるコンテンツやアクセスの向上が続けられるか、選択や議論をすべき時に至っている」と述べている。

(中国経済新聞)