中国の「前期高齢者」は1.5億人、うち3分の1が就業中

2023/03/18 15:09

中国で2020年に行われた第7回国勢調査を見ると、60歳以上の人口は2億6402万人で、このうち「前期高齢者」とも言える60~69歳がお年寄り全体の55.83%となる1億4739万人であった。

2022年は60歳以上の人口が2億8004万人で、このうち60~69歳は上記の割合で計算すると少なくとも1.5億人と見られる。中国の過去の年間出生者数を見ると、1962年から急増しており、このため2022年から定年ラッシュを迎え、向こう10年間はこの「前期高齢者」が大幅に増えることになる。

また「前期高齢者」の就業者数について、「中国人口普査年鑑-2020」からの推計では全就業者数の6.8%と見られる。具体的な人数は年間の就業者数全体から計算して5104万人となり、3人に1人が働いていることになる。

さらにその仕事の内容を国勢調査から推計すれば、農林・牧畜・漁業が62.44%を占め、人数では3000万人以上となり、主に農業に従事している。

人口の専門家である広東省人口発展研究院の董玉整(Dong Yuzheng)院長は、「農業をしているお年寄りは固定収入がないので、食べていくためにやむなく働いている。リタイヤする・しないといった問題などはなく、常に働いている状態だ」と分析している。

去年末の公開データによると、農業従事者に支給される年金額は月平均188元(約3636円)で、都市部の平均である3577元(約69173円)のわずか5.26%である。

よって農村部のお年寄りは、働いて収入を得るか、子供に養ってもらうことになる。「前期高齢者」について、農林・牧畜・漁業以外の就業先割合は、建設業が8.31%、製造業が7.29%、卸売り・小売業が6.61%であり、これら4業種を合わせると84.65%となっている。

(中国経済新聞)