フォックスコン傘下の工業富聯、「利益3867億円で配当2108億円」への批判に回答

2023/03/18 12:44

IOTなどを手掛ける「工業富聯」(フォックスコン・インダストリアル・インターネット=FII、工業富聯 )が3月14日に発表した2022年の利益分配案によると、すべての株主に10株分、現金5.5元(約106円)を配当し、総支給額は過去最高の109.22億元(約2112億円)である。2022年の親会社帰属純利益は200.73億元(約3881億円)であり、今回の配当額はその54.41%に相当する。

工業富聯の売上高の中身を見ると、主な事業であるスマホ関連機器、クラウドコンピューティング、IOTといった分野のうち、主軸であるスマホ関連機器とクラウドコンピューティングについては前年比それぞれ19.56%増の2124.44億元(約4.11兆円)、14.37%増の2961.78億元(5.73兆円)であり、IOTは13.46%増の19.12億元(約370億円)であった。

また粗利率を見ると、スマホ関連機器は営業費用が前年より16.39%増えたことで1.58ポイント減り、クラウドコンピューティングも営業費用が19.78%増えたことで0.18ポイント減であった。2018年から2022年の全社の年間粗利率は順に8.64%、8.38%、8.35%、8.13%、7.26%で、低水準で推移している。

工業富聯はこのような状態にありながら、常に高額の配当を用意している。2018年から2020年、親会社帰属の純利益における配当額の占める割合は順に15.15%、21.36%、28.49%で、2021年には一気に 50%まで増え、そして今回また54.41%に伸び、5年間の配当額は累計323億元(約6246億円)に達している。

これについて批判の声も出る中、鄭弘孟(Zheng Hongmeng)CEOは3月16日の業績報告で「粗利率の改善に努めて利益率を増やせれば、今後もある程度の配当割合を維持する」と述べている。

(中国経済新聞)