中国全人代報道:23年経済成長率目標は5%に、課題も際立っている

2023/03/5 14:19

中国の全人代は、習近平国家主席ら共産党の最高指導部のメンバーをはじめ地方の代表らおよそ3000人が出席して、日本時間の3月5日午前10時から北京の人民大会堂で始まった。

10年間総理を務めた李克強が最後の政府活動報告を行った。

李総理は政府活動報告で、「この 5 年は、きわめて特殊で、きわめて特異なものであった。習近平同志を核心とする党中央の力強い指導の下、われわれは激動する世界情勢、新型コロナウイルスの感染拡大、中国経済の成長鈍化など幾多の試練に耐え抜き、計画どおりに貧困脱却堅塁攻略戦に勝利し、計画どおりに小康社会を全面的に完成させて一つ目の百周年の奮闘目標を達成し、二つ目の百周年の奮闘目標に向かって新たな征途を進みはじめた。」と述べた。

では、コロナ衝撃を受けた2022年の中国経済は、実際に何を達成したのでしょうか。

李総理は「昨年の国内総生産(GDP)が 3%伸び、都市部新規就業者数が 1206 万人となり、年末時点での都市部調査失業率が 5.5%に下がり、消費者物価が 2%上昇した。財貿易額が 7.7%増えた。財政赤字の対 GDP 比が 2.8%に抑えられ、中央の予算が計画どおりに執行され、やや黒字となった。国際収支が均衡を保ち、人民元相場は世界主要通貨の中で相対的に堅調に推移した。食糧生産量が前年比 370 万トン増の 6 億 8500 万トンとなった。生態環境が持続的に改善された。困難に立ち向かう中で経済を安定させ、複雑で変化の多い環境において発展の年間主要目標・任務を基本的に達成し、わが国の経済は高い強靭性を見せた。」と指摘した。

李克強総理

李総理は、中国の発展の成果は習近平主席の卓越した指導力によるものだとした。

李総理は「わが国の発展において収めた成果は、習近平同志を核心とする党中央の力強い指導のたまものであり、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想の科学的な導きのたまものである」と強調した。

2023年の主な所期目標について、李総理は「GDP の伸び率は 5%前後とする。都市部の新規就業者数は 1200 万人前後とし、都市部調査失業率は 5.5%前後とする。消費者物価の上昇幅は 3%前後とする。住民所得の伸び率は経済成長率とほぼ同ペースに保つ。輸出入の量的安定と質的向上をはかり、国際収支を均衡に導く。食糧生産量は 6 億 5000 万トン以上に維持する」と宣言した。

2022年は、李克強の総理としての10年間で、中国の経済発展にとって最も困難な年でもある。政府活動報告の中で、現在の中国が直面している困難について、李総理は以下の内容を指摘した。

「われわれは発展の成果を認めると同時に、次のように冷静に見て取らなければならない。わが国は発展途上大国として、今なお社会主義の初級段階にあり、発展の不均衡・不十分という問題が依然として際立っている。足下の発展はさまざまな困難と試練に直面している。外部環境が不確実性を増し、世界的にインフレ率が高止まりし、世界経済・貿易成長の原動力が弱まり、外部からの抑圧・阻害がエスカレートしている。国内経済の安定成長の基盤はいっそう強化される必要があり、需要不足が依然として際立ち、民間投資と民間企業の先行きが不透明で、多くの中小・零細企業や自営業者が多くの困難を抱え、雇用対策は非常に困難であり、一部の地方政府の財政難がさらに深刻になっている。不動産市場が数多くのリスクを抱え、一部の中小金融機関のリスクが顕在化している。発展において体制・仕組み上の障壁が依然として多くみられる。科学技術イノベーション能力が伸び悩んでいる。生態環境保護は前途多難である。防災・減災面などで都市・農村部のインフラに明らかな脆弱性がみられる。民生分野に問題点が多々ある。形式主義・官僚主義が依然として目立ち、一部の地方政府に政策実施の硬直化、ノルマの上乗せがみられ、一部の幹部は職務を怠り、職権を濫用し、蛸壺化が進み、現実を見ず、大衆の意思を無視し、大衆の合法的な権利・利益を軽んじるなどの問題がある。一部の分野、業種、地方で腐敗問題が時折起きている。政府活動に対する人民大衆の意見や提案を重視する必要がある。問題と課題に立ち向かい、全身全霊を傾けて政府活動の改善に取り組み、人民の切なる負託に応えなければならない。”

(中国経済新聞編集長 徐静波 北京報道)